築年数と資産価値の関係(マンション篇)

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築年数と資産価値の関係(マンション篇)

マンションの売却は、築年数10年以内が望ましい、という見解をよく耳にしますね。

10年以内と考え方には、もっともな理由がいくつかあります。

しかし、現実には10年以内でも10年以降でも大きな違いはありません。

マンションの築年数ごとに、売るためのコツがあるので、参考になさってください。

マンション売却は、築年数10年以内が望ましいとされる根拠

マンションを売るなら、築年数10年以内が望ましいと言われるときの理由は、たいてい次の3つです。

マンションを売るなら、築年数10年以内が望ましい理由
  • 築10年以内なら、買い手は、感覚的に古いと感じにくい。
  • 大規模修繕工事は、たいてい築12〜15年頃におこなわれるので、その前のほうが新しく感じられる。
  • 築12年を超えると、担保としての価値が低くなって、買い手は35年の住宅ローンを組めなくなる。

実際には、大規模修繕工事と前後して、管理を値上げするマンションが少なくないようです。

管理費が高くなると、売却するには不利になります。

ただし、統計を調べると、ここであげた点は、必ずしも決定的な要因ではありません。

中古マンションの築年数と売れ行き

下のグラフは、公益社団法人東日本不動産流通機構と近畿圏不動産流通機構の直近の統計を元に、マンションの築年数と売れ行き(成約件数)との関係を表しています。

マンションの築年数と成約件数との関係

首都圏、近畿圏とも、築31年以上の件数が飛び抜けて多いです。

その次に多いのが、首都圏は築11〜15年です。一方近畿圏は、築16〜20年、築11〜15年の順ですが、両者の差はわずかです。

このグラフを見る限り、築10年〜築20年が、マンション売却を検討するタイミングになっているようです。

中古マンションの築年数と資産価値(売却価格)

下のグラフは、やはり公益社団法人東日本不動産流通機構と近畿圏不動産流通機構の直近の統計を元に、マンションの築年数と売却価格との関係を表しています。

マンションの築年数と売却価格との関係

首都圏は、築年数の増加とともに、価格も着実に下がっています。あえて言えば、築15年前後は減り方がゆるやかになっていますが、目立つほどではありません。

一方、近畿圏は、築10年前後であきらかに減り方がゆるやかになっています。

とはいえ、強く意識しなければならないような“売り時”は無いようです。

築26年〜築30年くらいになると、価格の低下が止まるのですね。

築年数が経過すると、それだけ価格が手頃になるため、需要が下げ止まります。

価格は下がりますが、売れないわけではありません。とくに立地や設備に魅力があるマンションは有利です。

マンションの耐用年数(実際に使用できる年数)

建物には、4つの耐用年数があります。

マンションの4つの耐用年数
  • 法定耐用年数(減価償却費の算定基準)
  • 物理的耐用年数(物理的な寿命)
  • 機能的耐用年数(一部の機能が修理・交換不能になる)
  • 経済的耐用年数(修繕・管理ができなくなる)

以下で、それぞれについて補足説明します。

法定耐用年数

財務省が決めている、減価償却費の算定基準となる耐用年数。

鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅用マンションは47年です。

マンションの物理的な寿命には、直接関係しません。

物理的耐用年数

躯体(建物の骨格)の寿命を指します。

コンクリートのひび割れや、鉄筋のサビが進行すると、寿命になります。

定期的な保守点検・補修によって、建物の耐用期間は長くなります。

日本建築学会『建築工事標準仕様書 JASS5』によると、鉄筋コンクリート造の寿命は、大規模修繕不要期間が65年、耐久性の限界期間が約100年とされています。

機能的耐用年数

給排水管などの配管設備が老朽化した場合、建物によっては物理的に交換が困難であったり、交換できても高額になりすぎることがあります。

このように、躯体の耐用年数は残っていても、重要な機能が損なわれることで、寿命を迎えることがあります(建物によります)。

経済的耐用年数

定期的な保守点検・補修によってマンションの寿命は伸びますが、そのためには資金が必要です。

何らかの理由で空室が増えて、必要なだけの管理費を集められなくなると、結果的にマンションの寿命が短くなります。

管理組合が機能し、適切な維持管理をおこなっているかで、マンションの寿命は変わります。

築年数別、マンション売却のポイント

築年数別に売却のポイントを解説します。

築5年以内

築5年以内でしたら、新築に近い価格での売却を期待できます。

そもそも、築5年以内のマンションは、売りに出されている件数が少ないので、売却価格を強気で設定しても、買い手の反応を期待できます。

築10年前後

中古マンション市場では、築10年〜築20年あたりの取り引きが活発です。

築10年以内を一つの基準として、中古マンションを探す人は多いようです。

売買が活発ということは、ライバルが多いということでもあります。

相場からかけ離れた売出価格にしてしまうと、成約につながらないリスクが高くなります。

築15年前後

築10年前後と並んで、取り引きは活発です。ご注意いただきたい点は、共通します。

ただし、築15年前後と言うと、大規模修繕工事のことが気になります。

まだ工事をやっていなくて、修繕積立金が不足している場合、今後管理費が値上げされる恐れがあります。

また、築年数が12年を超えると、買い手は35年ローンを組めなくなります。そのことが、買い手の反応に影響する恐れがあります。

築20年前後

大規模修繕工事や定期的な保守点検・補修が適切におこなわれているかが重要です。

それらが実施されていれば、安さ重視の買い手の需要を期待できます。

なお、買い手にとっては、築25年を超えると住宅ローン控除が適用されなくなります。

築30年以上

大規模修繕工事や定期的な保守点検・補修が適切におこなわれているかが重要です。

それらが実施されていれば、安さ重視の買い手の需要を期待できます。

また、1981年(昭和56年)以降の新耐震基準で建設されたマンションであるかが、ポイントになります。

それ以前に建てられた、旧耐震基準のマンションは、耐久性が低いと見なされますし、住宅ローン減税を受けられなくなります。

まとめ

上で、首都圏と近畿圏のグラフをご覧いただきましたが、築年数と成約件数や単価との関係には、地域差があります。

また、同じ地域でも、時期によってあるいは年によって違いがあります。

よって、地域の相場や市場の動向を分かっている、頼れる不動産業者を見つけることが、売却成功の鍵になります。

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